人魚がいた夏-第1部-
覚えている、と想った。
宮里先生の急なこんな質問はいつもなぜかいい気持ちがした。
俺たちの心を見透かされてるのは知っている。
それでも、俺は宮里先生の言葉が、ずべてが、好きだった。
「柊の...
それは、雫の事ですか?」
いくら鈍感な俺だって、柊が雫を好きなのは知っていた。
「陸君は、そう想うの?
陸君は、例えば友達と好きな子どっちをとる?」
優しい目で問われると、素直な思いが胸を出て行く。