人魚がいた夏-第1部-

私はただただ涙をこぼした。


言いたい言葉が、わからなかった。


何を言いたいのかさえ、自分で気づかなかった。


柊は何の音も発せずに、私のことを待ってくれていた。




その、優しさも、柊は持ち合わせているのに...



私は、弱い。


そして意地悪で、泣き虫で、いいところなんて、もってなんかないんだ。



心の震えは、自分が良く知っていた。








私は、この震えを止める術を、知りたい。



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