人魚がいた夏-第1部-
波音は...
そう想ってくれているのだろうか...。
波音に最初に告白されたとき、俺はこういった。
―「波音のこと、そんなふうに考えた事なんて無い...。」
あの時は、素直な気持ちだった。
だけど、あの告白から、俺の気持ちは変わっていった。
あのときまで波音に持っていた感情は
『親友』という名の友情。
素直に俺のことを好きと言ってくれた波音を意識しはじめた。
俺と波音は、本当に小さい頃からずっとずっと一緒にいる。
赤ちゃんの頃の記憶なんてのは全く残ってないけど、気がついたらずっと波音はそばにいたんだ。
変わらないのは
あの笑顔。
俺が守っていきたいと、想った。