人魚がいた夏-第1部-
『中にはいれよ』
陸が手招きをする。
あたしはいつものように、陸のにおいがするベッドにチョコンと座った。
そして、思いっきり深呼吸。
早く言わないと、決心が鈍るかな...
「おめでとう!!!」
私にできる最高の笑みもつけた。
私は、邪魔者になって陸に嫌われる事が一番嫌い。
強い女として、私は祝福する道を選んだ。
『え?』
少しポカンとしている陸に向かって、私は早口でまくしたてる。