人魚がいた夏-第1部-


私は、動けなかった。




美しい月の光が、深い海のブルーの交じり合う。



私の憎悪の心とも...







私の心を美しくしてくれる、あの月の光は、何だろう?



光線でも放つかのように私の心につきささってくる...



なのに、優しく、私を見下ろしている。







陸だ。







心の中に、声が聞こえた。



私は心の私の声に反応する。



「陸なわ、け...



ないで、しょ?」





陸は雫を照らす満月だから。


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