人魚がいた夏-第1部-

砂浜がしめっていく。


あぁ、心の雨だって感じた。




陸...



なんか言ってよ...





沈黙が2人を包んだ。




『波音』




陸が優しい声で私を呼ぶ。





そして、しゃがみこんで私の顔を覗き込んだ。




はっと顔を上げる。





『ごめん』






陸が私に顔を近づけて。





唇に、暖かいぬくもりを感じていた。

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