ドクター
実加はクリニックで激しい発作と高熱に襲われ、救急車の中で意識を失っていた。
目を覚ますと、真っ白の天井が広がり、すぐにそこが病院だということがわかった。
実加の心は、また病院に来てしまったという無念さと、もしかしたら学校にしばらく行かなくてもいいのではと思う期待の気持ちが膨らんでいた。
目を覚まして少しすると、実加の周りを囲っていたカーテンが開いた。
「実加ちゃん、起きたか?
どうじゃ、体調は?」
「・・・・・・ん。」
寝ていたのですぐには言葉が出なかった。
「何か飲むか?」
実加の様子を見て、院長がそう声をかけると、実加は頷いた。
買ってきたお茶を飲ませ、実加が一息ついたあと、院長は再び実加に話し始めた。
「久しぶりの学校はどうじゃ?
久しぶりの上に、新天地だから何事も戸惑うことばかりじゃろ?」
実加は暗い表情のまま頷いた。
「後一ヶ月で卒業じゃが、無理せんでも、テストでの単位が取れとるようじゃから、卒業はできるみたいじゃ。
しばらく休むか?」
実加は黙って俯いた。
学校には行きたくないが、だからといって行ける体なのに行かないのも良くない。
それできっと悩んでいるのだろう。
院長にも、それはわかった。
「今日は一先ず入院して、明日の検査結果次第で今後のことが決まる。
ゆっくり考えたらいいからね。」
そういうと院長は実加の頭を撫で、もう遅いからといい、寝かしつけるとクリニックに帰って行った。