ドクター
はじまり
院長が帰って行ってから30分ほどが経った。
実加は変わらず天井を眺めている。
ガラッ
扉が開くと、斉藤先生が入ってきた。
「実加・・・・・・。
明日、俺は休みだから、今日はここで実加の側にいるよ。」
実加は斉藤先生の顔を見る。
「なぁ、実加。
学校卒業してもしなくても、どちらでもいいんだが。
そのあとのことは、何か考えてるか?」
「・・・・・・まだ、何も決まらなくて。」
「うん。何も決めなくていい。
その・・・・・・。
実加、まだ未成年のお前に言うのも悩んだ。
俺たち、お互い好きであっても、俺の仕事のせいで休みもまともに一緒にいられない。
でも・・・・・・。
俺はもっと、実加と近い存在になりたい。
俺と・・・・・・、
結婚してくれないか?」
実加は斉藤先生の目を見たまま、固まってしまった。