ドクター

車の中では、どちら話すことなく沈黙が続いたが、すぐに工藤が口を開いた。





「あんた、病院抜け出して、迎えまで来させて、謝ることも知らないの?」





病室にいたときとは打って変わって、凶変する態度の工藤に、実加は俯向く。




「斉藤先生も、いい迷惑してる違いないわよ。
突然、妹だって言われて、あんたがやってきて。
働いていたところだって、あんたに合わせて変わって来たんだから。
斉藤先生の人生、めちゃくちゃにして。」





実加は工藤の言葉に、驚きそして深く傷ついた。
実加の顔色はどんど変わっていった。
それが傷ついたからなのか、発作の前触れなのか……。




実加は病院に着くと、待っていた看護師の車椅子に座らされ、俯いていた。
出迎えた看護師が優しく声を掛けるが反応を示さない。
工藤が実加の耳元にささやく。




「とにかく斉藤先生のためにも、大人しくしてなさい。」
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