ドクター
「斉藤先生、申し訳ございませんでした。」
そう謝るのは師長。
「工藤が、斉藤先生に行ってもいない巡回の報告をして。
一度も巡回には行かなかったそうです。
本当に申し訳ございませんでした。」
「大丈夫ですよ、師長。頭を上げてください。
それよりも、工藤さんはどうしてそんなことを?」
斉藤先生は師長に尋ねる。
「分かりません。
はっきりと言いません。
しばらく実加ちゃんの担当を替えて、様子を見ようと思います。」
「分かりました。今回の件は、担当の青木先生に隠すことはできません。
話させていただきます。
また、工藤さんの話を聞くことができましたら、教えください。」
「はい。」
師長は、斉藤先生に再度頭を下げ、医局から出て行った。
工藤さん、俺と食事をしたいって言ってたな。
何か話があるようなことも。
何かあったのかな?
斉藤先生は、今朝のことを思い出していた。