ドクター
北海道から帰ってきた青木先生が医局へ入ってくる。
斉藤先生は青木先生のそばへ行くと、ねぎらいの言葉をかけ、青木先生に代わって担当していた患者の報告をした。
実加以外の患者はなんら以上はなく、経過は順調であった。
実加について、報告を聞いた青木先生は、顔を曇らせた。
「担当していた看護師の三池さんが、明日から復帰されるようです。」
それを聞いてホッとした顔の青木先生。
実加が三池さんに心を開いていたことは、青木先生はもちろん、看護師たちも知っている。
「病院から抜け出したのは、引取り人でもあるクリニックの院長先生を心配してのことですか。そこまでは何も変わったことはなかったんですよね。
そしたら、その帰りに何か……。」
「その帰りには工藤さんと一緒に帰ってきてますので、もしかしたら、何かそこであったんじゃないかとも思っています。
ですが、それも憶測で、本当のところは、両者に聞いてみないとわからないんです。
どちにしても、胃の状態が落ち着けば、食事もできるようになると思います。
三池さんにお願いしましょう。」
青木先生と斉藤先生は話し終えると、青木先生は帰ってきてすぐというのに、休むことなく実加の病室に向かった。