ドクター
俺は実加から聞いたことをに耳を疑った。
実加を信じていない訳ではないが、なぜそんなことを言ったのか。
勤務時間が終わった斉藤先生は、病院の外のカフェに工藤を呼び出した。
待ち合わせ時間の5分前、斉藤先生の前に現れた工藤は、カフェに似合わない胸が開いて、短いスカートの真っ赤なワンピースを着てきた。
斉藤先生の仕事帰りのスーツは、似合いすぎいていて、逆にカフェには似合わないが。
それ以上に工藤の格好は浮いていた。
「斉藤せんせっ!お待たせしましたっ。」
満面の笑みで近寄ってきた工藤。
そんな態度に顔色一つ変えずに斉藤先生は席に座るように促す。
「先生から呼び出してくださるなんて、私、うれしいです。」
何かを勘違いしたのか、工藤は話す。
「私も先生にお話があるんです。
私、先生のこと、好きです。
是非、お付き合いっ「実加のことなんだけど。」
ルンルンに話す工藤の言葉をさえぎり、斉藤先生は本題に入る。
工藤の話は耳に入らなかったようだ。
工藤は斉藤先生から『実加』の名前を聞き、顔色を変える。
「何を実加に言ったのか、正直に話してほしい。」
そこからどのくらい経っただろうか、工藤はうつむき黙ったままであったが、斉藤先生はいつまでも工藤が話すのを待った。
そしてとうとう痺れを切らした工藤が口を開いた。