ドクター

「…………ごめんなさい……。




斉藤先生があまりにも実加ちゃんを心配して、他の人なんて眼中にないようなまなざしで実加ちゃんを見ていたから、悔しかったんです。



私をみて欲しかった。




けど、入る隙がなかった。




実加ちゃんが最初に運ばれてきたとき、苗字が斉藤先生とは違ったから、てっきり彼女だと思って。




でも、兄妹だって聞いて、それなら、私だって入る余地はある。



でも、斉藤先生は妹っていうのに、やけに実加ちゃんのことを恋人のように大切に接してるのを見て。




本当にごめんなさい。私、ひどいことを言いました。




実加ちゃんに、斉藤先生にとって実加ちゃんはお荷物のようなことを言ってしまいました。




本当にごめんなさい。」





話し終わった工藤は涙で顔がくしゃくしゃになっていた。




再び沈黙が続いたが、今度は斉藤先生が沈黙を破った。
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