ドクター
「わかった……。
この件は、師長と青木先生に話させてもらう。
それから、俺は実加と他の患者に差ができないように対応すると言った。
それなのに、看護師の君からそう見えていたのなら俺が態度を改める。
申し訳なかった。
それから、君の気持ちには答えられない。
今の俺には、やはり実加のことでいっぱいだ。」
「え?それって。」
「いや、実加はあくまでも妹だ。
俺の前に突然現れた妹。
俺は最初、実加の存在をどう扱ったらいいのかわからなかった。
しかし、今は大切な家族と思っている。
ただ、今まで家族がいなかったからどういう立場で、どういう接し方をしたらいいのか、どう想ったらいいのかわからず、つい妹なのに、四六時中頭から離れないほど考えてしまう。
ただそれだけだ。」
そういうと斉藤先生は席を立ち、机に置かれた請求書を手にして、会計に向かった。
すぐに工藤は立ち上がった。
これだけは言わなくちゃ。
工藤はそう思い、斉藤先生の後を追った。