ドクター
病院の隣には大きな家がくっついていた。
車から降りて院長の後を追う。
玄関はほのかに消毒の匂いが鼻を突いた。
玄関に入ると、体の大きな男の人がいた。
院長から斉藤実と名前を聞いた。
この人が、私の兄。お兄ちゃん。お兄さん・・・・・・・・・。
部屋に向かう途中、何か話し掛けられたけど、私は緊張していて、全く聞こえなかった。
少し前まで、何にも緊張なんてしていなかった。
それがいざ里親の家に入り、同居していく家族を目の前にすると、私はどうしたらいいのか分からなくなった。