クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
朝比奈琥珀 side
輝「…ってか、元々響は誰に狙われてたの。」
今まで聞き流していた会話に、そんな言葉が混じり、俺は思わず声を上げた。
琥珀「ストップ!」
あ…。と気がついた時には遅かった。
いきなり会話に挟んだ俺の声に全員が俺に視線を向けた。
天「…琥珀?」
琥珀「っ…、話を逸らしすぎだ。
結論を出してからにしろよ」
不思議そうに俺の名前を呼んだ天の声に、俺はいつもの癖で偽りの言葉を口に出していた。
響「…ああ、そうだったな。悪い」
陽向「彼方。」
さっきの騒がしさが嘘のように静まり返った倉庫には、再び緊張の糸が張った。
その空気は、自然と全員が彼方へと視線を向けるようになった。
彼方「……っ………。」
視線の先にいる彼方は覚悟を決めたように、一度目を閉じてからゆっくりと伊織を見つめた。
彼方「…俺は、さっき言ったように伊織がスパイなのを知ってて隠してたし、何もしなかった。」
伊織「っ、。」
彼方「だから、本当ならこれは俺が決めるべきじゃない。
けど。
俺には、俺たちには今、伊織が必要だ」
伊織「でも俺は!」
…解雇じゃなくてよかった。と思ってるくせに、
なのに伊織は彼方の結論に納得が出来ない。