クロ * Full picture of the plan * Ⅳ



…全てのことが話し終わったのは、少女が寝て、大体1時間くらいたった頃だった。



「…で、結局この子供の名前や年齢、親などのことも何もわからないってことか。」



どうすっかなぁ…と眠る少女を見て頭を搔くすーは少し笑ってるようにも見えた。



「すーくん、けいさつに知り合いがいたよね?だったら、、えーっと…
そーさくねがい?ってのを出てるかどうかきいてみれば??」



少女のその傷の正体がわからないひよも俺も、当時は警察に聞けば何でもわかると思っていた。



「……あー、多分出てねーよ。」



「えぇー!?なんでー??」



「なんでって…その子は公園に居たんだろ??その子を探す親とかがいるんならさっさと見つけてるはずだ。」



「それは…もしかしたらおうちがとおいのかも!」



「それはないな。
血塗れでこんな傷だらけの、しかも子供が、自力で家から出たのならそんな遠くに行けるわけがない。
それに、この子は靴も履いてないだろ?
裸足で公園や道路を歩いたのなら足の裏だって傷だらけのはずだからな。」



すーのその推理は確かにその通りで、納得だった。



けれど、その推理は少女が自力でなく、他の誰かに連れてこられたことになる。



……その時の俺はそんなことさえも気がつかず、ただすーの推理を頭に詰め込むのに必死だった。



「…僕には家も、家族も、仲間もいない。もう、僕にはなにも、ない。」



「「「!!」」」



いつの間にか目を覚ましていた少女が虚ろな目で俺たちを捉える。



「僕は名前なんてない。僕には、"あの人"しか…」



「お前は名前が無いのか??年齢は??」



か弱い、今にも壊れそうな声で言葉を繋ぐ少女を、俺とひよはただただ見つめていた。


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