クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
「う、うん。何もないけど…」
「そうか。それなら良かった。」
父さんはホッとしたように息を吐いた。
俺相手にそんな真剣になることなど滅多になく、余計に嫌な予感が強まり、俺も箸を置いて父さんに問いかけた。
「……よかった、?何かあるの??」
「あのね、琥珀。
明日お母さんたち、会社のパーティーに行くのよ。」
「ぱー、てぃー??」
今までも何度か会社のパーティーはあったらしいが、まだ幼い俺を気遣って一度も出席したことはなかった。
「行かないつもりだったんだが、今回は父さんたちに関わりがある人が来るから行かずにはいられないんだ。」
「?それで、なんで俺にかんけいがあるの??」
重要なパーティーなら行けばいいし、俺だってもう何も出来ない幼い子供じゃない。
1人にするのが怖いとか、そうゆうことじゃないのは予想がついていた。
「…その偉い人が琥珀に会いたいって言ってるのよ。」
「へ?」
流石にその言葉に予想はしていなかった。
誰かも知らないその"偉い人"が俺に会いたいだなんて。
「だからな、明日一緒にパーティーに来てくれないか?と言われたんだ。
…どうだ??琥珀が嫌なら無理にとは言わない。琥珀の意思を尊重する。」
今まで俺は親に我が儘を言ったことも、親が言ったことを拒否したことも一度もない。
実際、父さんたちなら俺が本当に嫌がれば仕事のことを考えずに俺を優先してくれるのだろう。
…でも、俺はそこまでして父さんたちを困らせることはしたくなかった。