クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
…俺は、この時もう何もする気にならなかった。
俺が生きて、俺を助けようとした母さんが、俺を庇った父さんが、何故死ななければならない?
俺がいなければ父さんたちが死ぬことはなかったのに。
「あ"あ"あ"あ"あぁぁぁぁぁ!!!!」
…その瞬間、俺は死んでもいいと思った。
罪もない父さんと母さんが死んで、俺だけが生きてたって意味がないと。
…もう真後ろまで炎がきてて、背中が焼けるように熱くて、
ああ、このまま死ぬんだ。死ねるんだ。
ーーそう思ったのに。
俺は、
「こーちゃんっ!!!!」
グイッッーーバタンッ
炎が振り返った俺の目の前にきた瞬間、後ろから俺の名を呼んだ誰かに腕を引かれた。
そして俺の腕を引っ張ったのは、俺のことを唯一"こーちゃん"と呼ぶ、たった1人の少女。
……ひまだった。
「な…で……、。」
「え?」
「なんでたすけたんだよ!!」
ただの八つ当たりだってことはわかっていた。
けど、ひまに助けられたことで俺はこれから生きなきゃならない。
そんなの、考えただけで絶望しか待っていないことなどとっくにわかっていた。
「俺は!死ぬべきなんだよ!!
母さんも、父さんもころしておいて俺だけが生きてるなんて!!!!」
当時の俺は、とてもじゃないけど2人を殺した"罪"を背負えるほど強くはなかった。
今にも壊れそうで、ひまが俺の腕を強く掴んだままでなければ、今すぐにでも炎の中に飛び込む勢いだった。