クロ * Full picture of the plan * Ⅳ



「確かにお前には感謝はしてるが、今日は無理だ。」



ギィーー



「!!誰だ!!」



大輔さんがデスクから移動したから見えなくなったため、もう少しだけドアを開けようとすると予想以上の音が鳴った。



それに気がついた大輔さんはドアの方を睨み、近づいてくる。



バンッ



やばいと思い、急いで書斎を離れようとするが、その前に大輔さんはドアを壊す勢いで開けた。



「!?凪?」



「あっ……え、と……。」



ギギギと効果音がなりそうなロボットみたいに首だけ背を向けた方に向け、何か言おうとするが言い訳が出てこない。



「何してんだ?こんなとこで。」



「あ…あの、、のど、かわいて…。
飲みもの、とりに…きて、はなし声がきこえて、……。ご、ごめんなさい」



流石は組織犯罪を相手にしている人だ。



怒ると凄く怖くて、一度だけ怒られたことがあるが、それは今でもトラウマものだ。



元々目付きが悪く、常に睨んでいるように見えるその目で見つめられ、俺は怯えながら正直に話した。



…大輔さんには嘘をついても無駄だと、身をもって知ってるから。



「…あ、悪ぃ。大丈夫、凪だ。

…え、は?嗚呼、元気だが??

…はあ!?お前なぁ、っておい!もしもし!?刹那!!」



電話の相手に何か言われたのか文句を言いながら俺を手招きする大輔さんに、俺は恐る恐る近づく。



そのまま引っ張られ、俺は初めて書斎の中に入れてもらった。



ゴトッ



「っち。…はぁ、」



電話の相手、恐らく名前は"刹那(セツナ)"という人物。



かなり親しいらしく、家の時みたいに口調が砕けていた。



けれど、途中でぶち切られたらしく、舌打ちしながら携帯をテーブルに投げた。


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