クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
騎士「…で、さっきの話だけど。」
琳歌「え?あぁ……うん。」
騎士は再び私から離れ、柵に寄りかかった。
私は立ったまま向き合って騎士の話を聞く。
騎士「お前は心友じゃないとか言ってっけど、それだったら俺も同じだろ。」
琳歌「へ??」
騎士「だってそうだろ??
お前は向日葵と…10年くらいか?一緒にいて、知らないことが多いんだろ?
それなら同じくらいの付き合いの俺の方が知らないこと、多いだろ。」
違うか?と私に問いかけるが、私は何も言えないまま、騎士が呆れた様に言葉を続ける。
騎士「見てる限りあいつはお前を信用してるからこそ、琥珀たちを任せられるんじゃねぇのか?
つーか、お前が心友じゃねぇなら、俺は秘書失格ってことになるんだけど。」
琳歌「!!そんなわけ!
騎士が秘書失格なわけないじゃん!!あれだけ尽くしてるのに!!」
騎士は自分の家が財閥だから、幼い頃から経済学を習っていた。
それを、西園寺グループではなく、虹グループで発揮してるのは、騎士がそれだけ社長であるひまちゃんに尽くしてるからこそだ。
それなのに、騎士が秘書失格なわけがない。
騎士「は、そうゆうことだ。
俺からしてみりゃ、琳歌はあいつの心友だろうぜ?
そうじゃなきゃあいつはお前を味方で仲間とは判断しない。そうだろ?」
琳歌「っ…、でも、私はひまちゃんに何も返せてない。」
私は助けてもらってばっかりだ。
騎士「馬鹿だなお前。」
琳歌「なっ!」
馬鹿にしたように鼻で笑う騎士に私は言い返そうとしたが、その前に騎士が私の頭にぽんっと手を置いた。
騎士「向日葵は見返りなんて求めてない。
ただ、お前が生きて、傍にいてくれるだけで救われてるんだろうぜ」
だからお前はそのままでいればいい。と幼い子供をあやすように優しく私の頭を撫でた。
…騎士の言葉に救われた気がした。
私は私が出来ることでひまちゃんを助けよう。
この日、私はそう決めたんだ。