クロ * Full picture of the plan * Ⅳ

スパイ side




俺にとって、居場所なんてものはなかった。



家にも、学校にも。



俺にとって安心で居心地のいい居場所なんて、ここしかなかった。



こんな幸せが続くなんて思ってなかった。



始めから、俺には幸せなんて巡ってくるわけがなかったんだ。



こんな明るい、輝く場所に、俺なんかが居ちゃいけなかった。



たとえスパイだとしても、青星に入るべきじゃなかった。



…始めは只のストレス発散のつもりだった。



孤独だった俺に、何も出来なかった俺に、"ボス"は機会を与えてくれた。



青星に恨みなんて何も無かった。



溜まりに溜まった他人への不満をぶち当ててやろうと、ただそれだけで"ボス"の指示に従った。



上辺だけでも仲間と偽ってれば、青星の情報をもっと手に出来ると。



ただそれだけだったんだ。



それなのに、あいつらは優しすぎた。



俺なんかが、青星の上に立つ資格なんかないのに。



捺翔「十代目総長は林彼方、副総長は宮本凪。幹部は藤井伊織、藤井神楽、山中紫月の3人だ

これから青星をよろしくな」



そんなのダメだってわかってたけど、、



でも、捺翔さんがそういった時、涙が出そうになった。



「おー!」、「頑張れよな!」



拍手をしながら笑顔の下っ端に、俺らの背中を押した先代たち。



…俺は、優しすぎるこいつらに甘え過ぎた。


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