クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
「…あっ!こーくんっ!!」
数十分間走り続け、やっと目的の場所へと着いた。
「…っはぁ…っ、わり……遅くなったッ!
はぁはぁはぁっ…」
「え、ちょっ、、こーくん大丈夫!?息切れ酷いよ??」
予めに呼び出していた人物、琳が木の陰から出てきて俺に駆け寄ってきた。
「しかもなんでそんなに急いでるの??
あのメールもなに!?どうゆうこと!?」
「ちょ、、ちょっと待てって…!」
ただでさえかなりの距離を全速力で走って来たのに、質問攻めにされても息切れで話せる状況ではなかった。
興奮している琳を抑え、取り敢えず表から見えない場所へ移動する。
「…っはぁ……わりぃけど時間がねぇんだ。取り敢えず聞いてくれ」
「……うん、わかった。」
いつ俺の居場所が追手にバレるかわからないこの状況で、呑気に話している暇はなかった。
それでも緊急事態だと理解してくれたのか、静かに俺の話を聞いてくれた。
…部屋を出る前に琳に連絡したのは、俺は追手に追いつかれることを予測していたからだ。
記憶を取り戻す"前"ならば、ひなに言った。
けど、記憶を取り戻した"今"なら、ひなに話すのは危険だと判断した。
…ひなは何一つ思い出していないから。
もしも、この話をして思い出したとしても、ひなが苦しむことには変わりない。
…それに、ひなに話したことが追手にバレればひなの記憶も消そうとするだろう。
‥‥どうしてもひなに話すことはリスクが高すぎた。
でも琳なら、絶対大丈夫だという根拠の無い自信があったから。
「……っっ、うそっ…、でしょ……?
嘘だって言ってよッ!!!!こーくんっ!」
「…ごめん、ごめんな。琳。
これから全部、お前に任せることになる」
ひまの過去を聞き、泣き崩れる琳を俺は見ていることしか出来ない。
「……っ、謝らないでっ…!こーくんは悪くない。ひまちゃんだって……!!
…ごめ、、私は大丈夫だから…、話、続けて……?」
溢れ出る涙を手で拭い、混乱しているはずなのに必死で俺の話を聞こうとする。
…あぁ、やっぱり琳に話してよかった。と、不謹慎ながらそう思った。