クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
記憶は、一生戻ることは無い。
そう言われても薬で頭は正常に働かず、ただ唯一ひまの話を聞いて気になっていたことを訊いた。
「な、で…ひま、、だっ……た…、?」
なんでひまを"被験者"として目をつけたのか。
ひまの話を聞いていた限りでは、他にも沢山の"被験者"がいた。
しかしその被験者たちは"不良品"、つまり実験としては失敗作だった。
…そうだとしても、このボスは"ひま"をどこか特別扱いをしている気がした。
"大切"なら"被験者"にはしない。
でも、ただの"他人"だとも思っていない。
…"ひま"に対する謎の行動が、何か大事な"鍵"を握っている気がしてならなかった。
「…ハッ
お前"も"頭脳は優秀だな。」
お前も、とは他に誰を指しているのかはボーッとしてくるその頭ではわからなかった。
しかしそいつも、こいつにとっては"道具"にすぎないのだということはなんとなく理解した。
「いいだろう。"最後"に教えてやる
あいつは……
俺の、実の娘だ。」
パチンッーー
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…その言葉を最後に、俺は眠りについた。
そして目覚めると、
「……誰、?」
俺は再び、全ての記憶を無くしていた。」
「「「「「「「「「「……………。」」」」」」」」」」
…話し終わっても、誰一人として口を開くことが出来ない。
まあそれも当然だ。
自分の知らないところで、非現実的なことが起こっていたんだから。
ただでさえ"表"で生きてきた青星、"裏の表"で生きてきた陽炎、組の連中には"研究"なんてほど遠い世界だ。
そして俺にとっても……
ひまが被験者でなければ、関わること、知ることなどなかった、酷く遠い現実。
陽向「……、ねぇ、こー。」
ぽつり、と迷子の子供のような声色で俺を見上げるひな。
その目にはうっすらと涙の色が浮かんでいる。
陽向「……ひまはさ、耐えきれなくなったんだよね…きっと。
被験者としても、殺し屋としても、、
生きていることも。
だからこーに助けを求めたんだよね」