クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
…ハッとしてタツさんを問い詰め始めたのは"子供"が出ていってしまってから10分以上経ってからだった。
雷「タツさん!」
辰巳「わかってる、ちゃんと話す。」
俺たちを座らせ、静かに話し出した。
辰巳「あの子は"虹羽百桃"、4歳。
…4年前に智軌が"拾ってきた"子供だ。」
雷「‥ひ、ろってきた‥‥?」
俺には縁のない話で無意識に声が震えた。
辰巳「…ああ。智軌の家のすぐ近くの公園に一枚のメモと一緒に"捨てられてた"らしい。
そのメモには、
『平成○○年7月12日生まれ』
たったそれだけが書かれていた。」
…つまり百桃の誕生日のみが書かれていた、ってことか。
‥‥…あれ、?7月12日!?
志「あれ?確かキィや来蘭も同じ誕生日だったよな??」
…トモと姫星さんが死んだあの日も、、"7月12日"。
辰巳「っ‥‥智軌たちが死んだあの日、一度も我が儘を言ったことがない百桃の為に智軌が遊びに連れてったんだ‥‥」
雷「!!じゃああの"子供"のせいって…」
百桃のためにトモや姫星さんがあの日車で遊びに出掛けたから…ってこと、?
知らなかったその事実に固まる俺達。
だがタツさんは怒った顔でそれを否定した。
辰巳「違う!あれはただの"事故"だ!!百桃のせいなんかじゃねぇ!
いくらお前らでも"ただの事故"を百桃のせいにするのは許さねぇぞ。」
"ただの事故"だった、百桃は悪くない、タツさんはそう言った。
自分の目で見たわけじゃない俺たちはそれを否定する術を持たない。
葵絆「…タツさん……、あの子って今何処で暮らしてんの?」
自然と重い空気になった室内で誰も口を開けない中、俯いたままただ冷静に葵絆は問いかける。
タツさんは驚きながらもいつもより低くなった声で答えた。
辰巳「今までと同じ智軌の家だ。」
葵絆「…それじゃあ誰があの子たちの世話してんの??タツさん?」
辰巳「俺もたまには顔を見せに行ってるが、子供たちの希望で家政婦が2、3人世話してる。
……って、なんでそんなこと聞くんだ?なんか理由でもあんのか?」
律儀に葵絆が問う質問は全て答えるが、それは全部百桃に関することだった。