クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
それにどういう意図があるのかは俺たちにはさっぱりだった。
葵絆「……その家政婦さ、辞めさせた方がいいよ。」
少し考え込んだ後、葵絆は唐突にそう言った。
辰巳「は、?」
志「どうゆう意味だ、葵絆。」
いきなり家政婦を辞めさせろ宣言には、流石のタツさんや志も驚かずにはいられない。
勿論俺たちも意味がわからなすぎて口を挟むことすら出来ない。
葵絆「…正確なことは言えないけど、あの子、虐待されてるかもよ。」
「「「「「っ!!??」」」」」
雷「ぎゃく、たい、……」
俺は、どこかその葵絆の言葉に納得していた。
百桃のあの身体中の傷は虐待だったんだ、って。
円「…なんで、そんなことが言える?」
今妊娠中の妻を持つメグにとっては聞き捨てならない言葉だ。
葵絆「あの子は身体中に沢山の痣や切り傷、煙草を押し付けたような火傷の痕があった。
アレは明らかに"大人につけられた"痕だ。タツさんがそんなことする訳がないし、それなら家政婦しか考えられない」
それに、傷だけじゃない。
百桃の体型は、とてもじゃないが通常の4歳児には見えないくらい小さい。
小さく細いあの腕を掴んだら、今にも折れそうなくらいの脆さがあった。
感情豊かであるはずの子供なのに、百桃は無表情で笑顔を見せようとしなかった。
それに加え、夜中なのにも関わらず暗い公園に居ても家政婦からの連絡は何一つない。
智軌が与えたのだろう携帯を持っていたのにも関わらず、だ。
家政婦が虐待をしていないにも、朝になっても帰ってこない子供を放っておくのはどう考えても問題がある。
雇われている家政婦として、それはクビ同然だ。
葵絆「それに、虐待が家政婦じゃないにしても世話をしてるはずの家政婦が知らない訳がないし、知ってて黙ってるのはあり得ない。
知らないなら知らないで世話してるはずなのに、それはそれで問題だろ。
どっちにしてもあの子は確実に"身体に傷を負ってる"。」
…葵絆のいうことはもっともで、葵絆は気づかなかったタツさんを責めるつもりは全くない。
本人の百桃はそれを隠そうとしていたんだろうし、こんなところで葵絆や俺にバレるなんて思ってもいなかっただろうし。