クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
葵絆「……きっとさ、あの子は気づいてたんだよ。無意識に"気を使った不自然な愛情"を注がれてることに。
別に智軌たちが注いだ愛情を否定するつもりも、偽物だったというつもりもない。
けど、あの子にとってその愛情は、"本物"でも"自然"でもなかった。
他人の俺から見て、あの発言、あの場所にいた意味、あの怪我、あの表情はそうゆうことを指してるように思えた。
それに、家族の智軌たちと違って俺らは"赤の他人"だからきっと意識しなくとも"自然"に接することができる」
だからあの子を姫にしたい。と、葵絆はタツさんを責めることはなく、ただ"赤の他人"として客観的に見たことをそのまま伝えた。
百桃を見つけ、一緒に一晩過ごし、葵絆は百桃から何かしらを感じ取った。
それが俺たちにとって"危険信号"なのかはわからない。
けれど、葵絆はただ1人でわけの分からない闇を抱える小さな子供に手を差し伸べたい。
本当にそれだけだったんだ。
志「…俺は賛成。
でもさ、百桃って子はキィと仲いいの?」
あんまそんな風には聞こえなかったけど、と志は葵絆の意見に賛成しながら指摘した。
円「んー俺も賛成かな。
でも、堂々と姫に立たすのは辞めた方がいいと思う。あの子そうゆうのは嫌がりそうだし」
辰巳「確かに百桃は目立つのは嫌がるタイプだな。それにキィとはあまり仲は良くない。
百桃のことを考えるならキィと同じ姫は辞めた方がいい。」
あくまで"百桃"が過ごしやすいように、俺たちを信用してくれるように、俺以外が真剣に話し合う。
見知らぬ子供を、いくらトモの娘だからって、、ほっとけばいいだろ。
そう、始めは考えていた俺だけど、ここを出ていく時の百桃の顔を見たらそんなこと口には出せなかった。
その代わり……
雷「……じゃあさ、"裏姫"ってのはどうだ?」
俺は自分でも考えられないくらい変なことを提案していた。
飛鳥「裏、姫??…なんだよ、それ。」
京「普通の姫と何が違うんだ?」
唐突に言った俺の変な提案に全員が頭に?を浮かべる。
当たり前だ。言っている俺自身いまいちよくわかってないんだから。
雷「葵絆の言葉通り、"俺たちの"姫にするんだよ。幹部の俺たち"だけ"しか知らない"裏"の姫。
それなら俺たちがバラさないかぎり外に漏れることはないし、百桃が狙われることも、希輝と会うこともない。
安心して守れんだろ?」
表の姫は希輝のまま、俺たちだけの"裏姫"という枠をつくる。