クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
葵絆「京!!何する気だ?考えなしに勝手に動くな!!やられたいのか!?」
俺の行動を否定する葵絆に腹が立って思わず大声で言い返す。
京「じゃあ!このまま黙ってろっつーのかよ!?ここまでやられといて悔しくねーのか!!葵絆!!」
幹部の中では誰よりも仲間想いな葵絆が、仲間を目の前で傷つけられて黙ってるはずがないのは誰よりも知ってたくせに。
…この時の俺は我を見失っていた。
なんで葵絆が手を出さずにいるのなんて、理解しようともせず。
ただ怒りに身を任せ、間違いを起こしそうになった。
葵絆「……なぁ、京。このまま俺が黙ってるだけだと思うか?」
京「!!」
冷静に、だが、今までにないくらいの怒りを含んだ葵絆の声音に俺はやっと頭が冷えていく気がした。
葵絆「京は百桃を見てろ。
あいつの狙いは俺らじゃねぇ、百桃だ。」
俺が気づいていたことを当然のように葵絆も気づいていて、小声で俺に向かって言った。
京「葵絆、、お前、どうするつもりだ…?」
葵絆「あいつがなにしようとしてるかは知らねぇが、ここは"俺たちの"場所だ。
好き勝手にはさせねぇよ」
だからそっちはお前に任せるわ。と俺の背中を百桃たちの方へ押した。
一瞬チラッと見えた葵絆の目には強い意思と小さな不安がチラついていた。
けど、あいつはやる時にはやる男だ。
なんとかしてくれる。
………この時は、まだ、、そう思っていたんだ。
ガラの悪い容姿だからか、10代には見られない俺たちを見ても怯えなかった百桃が、"彼"には酷く怯えていたこと。
それは、俺たちなんかかないもしない、かなりの強さを持っている人物を示していたのに。
目の前のことに必死になって、俺たちはそんなことには一ミリも気づくことはなかった。
??「クククククッ
次はお前か?龍神葵絆。」
葵絆「ああ、そうだよ」
見えない怒りと僅かな冷静さを含ませた声音は、後ろにいる俺たちの体を動かせるには十分だった。
さっき葵絆に言われた通り、俺は百桃を守っていればいい。
未だに震える百桃を完全に相手から見えないように、俺と楓たちの背で隠す。
相手は葵絆しか目に入っていない。
…百桃を逃がすなら、今しかない。
咄嗟にそう判断し、白い百桃の腕を掴んで、3.2.1で走ろうと決めた。
じーっと葵絆の背中から目を離さず、心の中で数えていく。
3、、2、、、1、
Go、っと走り出した瞬間だった。