クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
ーーパァンッ ザシュッ
京「うわぁっっ、」
葵絆に隠れて見えていなかったはずなのに、何故わかったのだろう。
背を向け、逃げようとした一瞬のことだった。
俺の足目掛けて弾が飛んできた。
当然、そんなこと予想すらしていなかった俺は左足への衝撃と共にそのまま地面に転がった。
それと同時に百桃と繋がっていた手は離れ、百桃はそのまま物陰へと隠れた。
楓「っ、京!」
ーーパンパンッ シュッ
楓「ッッ…、」
そこまでたった数秒で、目の前で撃たれた衝撃を受けながらも咄嗟に俺に駆け寄る楓。
だが、更に二発、楓の顔目掛けて弾が放たれた。
見事にその弾は楓の両頬に掠り、横に一本血筋が出来た。
ツゥーっと真っ赤な血が頬を伝う楓を見て、とうとう誰も動けなくなった。
??「クククッ
お前ら、動くなよ?」
そんな俺たちの姿を見て、はたまた面白そうにニヤリと笑う。
だが、先程とは違って"彼"の両手には黒い拳銃が握られている。
ヘタに動けば俺たちのようにあの銃で撃たれる。
それを誰しもが理解し、"彼"には勝てないことを悟った。
??「それでいい。
…虹羽百桃、隠れてないで出てこい
出てこないと……わかるよな?」
俺たちにはわからなかった。
何故、こんなにも強い"彼"が百桃を狙っているのか。
何故、こんなにも百桃は過剰反応しているのか。
百桃「……、……………、。」
無言で物陰から出てきた百桃はもう震えは止まり、無感情な目で"彼"を見つめた。
??「ククッ
こっちに来いよ。なぁ、"クロ"」
百桃「(ピクッ)」
"クロ"と訳の分からない名前で呼び、百桃はピクリと反応し、ゆっくりと足を進める。
葵絆たちは動けば撃たれるのが痛いほど理解しているから、百桃を見ていることしか出来ない。
俺は動きたくても弾の掠った左足が痛くて立ち上がれそうにない。
ただ百桃が連れていかれないよう、見ていることしか出来なかった。
そんな俺たちの心中を思っているのかいないのか、百桃は淡々と"彼"の目の前へと歩み続ける。
途中、葵絆の横を通り過ぎたが、百桃は葵絆を見ることはなく真っ直ぐに進んでいった。
??「イイコだ。クロ、」
とうとう"彼"の目の前で立ち止まった百桃。
……だが、"彼"が百桃に手を伸ばそうとした瞬間、百桃は予想外の行動に出た。