クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
こんなにも酷い怪我は生まれて初めてで、自覚すればするほど、どんどん痛みは増していった。
その激痛から耐えるように、強く手を握っていると、それに気がついた志が俺の手を掴んだ。
そのまま雷たちの方も向き、観察するような目で見てから俺に向き直った。
志「お前らも、怪我してんだろ。手当てされてこい」
行くぞ、と拒否権の無い俺の腕を自分の肩にまわして立ち上がる。
雷も飛鳥も、志の言葉で殴られたことを思い出したのか、腹に手をやる。
あんなに強い攻撃を受けておいて何もなっていないはずもなく、最低、痣にはなっているのだろう。
ヘタしたら臓器までやられているかもしれない。
そう2人とも考えたのか、反論することなく俺たちの後ろについてくる。
どこか夢心地な気分で、志に引き摺られるように一つの部屋に入った。
隣で志と誰かが話しているのがなんとなくわかったが、既に思考回路が停止している俺の頭では誰だかわからなかった。
…まあ、今考えれば医師だったのだとわかるけど。
志「………う、、…だ……………ら、い」
何かを説明しているのだと、歪む視界にギリギリ見えたが、プツリと俺の意識は途切れた。
…極度のストレスが溜まりに溜まって爆発したのだろう。
俺は眠るように気絶した。
……そして、気がついたら、白い病室のベッドで寝ていた。
起きてすぐには状況が把握出来ず、キョロキョロと視線だけ動かすと、手に何か繋がれていた。
繋がれていた管を目で辿っていくと、寝ている俺の上に点滴があった。
角度的にここからは何が書いてあるのかはわからなかったが、恐らく痛み止めか何かだろう。
ーーカラカラッ
??「……京、起きたか」
思考がはっきりしてきたところで、起き上がろうとベッドに手をついた。
すると、ノックなしに扉が開き、その人物は俺に声をかけてきた。
姿は見えなかったが、声ですぐに誰だかはわかった。
京「円…、葵絆、は……??」
何故病院にいるのかと考えを巡らせたところで、葵絆のことを思い出した。
なんとなく、気絶する前より暗い気のする円の表情は、なんだか嫌な予感がした。
'葵絆'という名前を聞き、額に皺を寄せながら起き上がった俺に近づいてくる。
京「……円、っ!」
いくら待っても話そうとしなくて、焦れったくて掠れる声で円の名を呼ぶ。
そのことで覚悟を決めたかのような顔をし、ゆっくりと俺に目を合わせた。