クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
お皿に乗っているパリパリののりがついたおにぎりを両手で包むように掴み、パクリと一口。
智軌「希輝。」
一口一口小さな口に頬張ると上からパパが私の名前を呼んだ。
もぐもぐと噛みながら首だけ真上に向けた。
智軌「今日は希輝たちの誕生日だろう?遊びに行くか」
希輝「み、んな?ららもいっしょ?」
姫星「えぇ一緒よ。都兎は学校があるから行けないけれど、来蘭と百桃と一緒に行きましょ?」
ももと…やだな…と思っても口には出さなかった。
これ以上嫌われたくなかったから。
希輝「わぁーい!どこいくの?」
智軌「そうだな…。希輝は何処に行きたい?」
希輝「きぃはねぇ、ゆうえんちいきたい!」
姫星「あら、また?希輝は遊園地が好きなのね」
智軌「遊園地はこの前行っただろう?」
食べかけのおにぎりをお皿に戻してパパの膝をおりてはしゃいだ。
来蘭も百桃も行くのなら、私だけの意見で決めないと幼ながらにわかっていたから。
適当に思いついたことを口に出しただけだった。
どーしよーかなぁ、なんて考えるフリをしながらパパたちに背を向けてテレビに体を向けた。
画面には可愛らしく子供に好かれるマスコット的キャラクターがいて、ダンスを踊っていた。
それに合わせて訳の分からない踊りを踊っていると視界の端でパパたちが苦笑いして話し始めたのが見えた。
目は、体は、テレビのダンスに釘付けだったけど、心ではただただ誰かがリビングに入ってきてくれるのを願った。
この踊りが終わればパパたちはきっとまた同じように聞いてくるだろうから。
お兄ちゃんでも、来蘭でも、この際百桃でもいい、と。
ただただ無造作に体を動かした。
ジャンっという音で終わった踊り。
それと同時に背を向けている方からママが誰かに話しかける声が聞こえた。
姫星「おはよう。ご飯出来てるわよ」
私にではないことはわかっていたから、勢いよく振り向いて確認した。
希輝「!、おにーちゃんおはよぉ」
都兎「…はよ」
眠そうに目を擦り、ボサボサの頭でパジャマ姿のお兄ちゃんがいた。
低血圧のお兄ちゃんは朝は不機嫌だからあんまり話しかけることはしない。
うるさかったりしつこかったりすると怒るから。