クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
それよりも、私は気になることがあった。
希輝「…ね、おにいちゃん。………ももは?」
あの場にいた、久々に見た百桃の姿がどうしても気になった。
嫌いなはずなのに、何故こんなにも気になるのか。
…それはきっと、お兄ちゃんが百桃に向かって発した'あの言葉'が引っ掛かっているからだろう。
希輝「……もものせい、って、、なに?
どー…して、ららたちがしんじゃったのは、ももの…せいなの‥‥?」
全部、お前のせいだ。と言ったお兄ちゃん。
それを反論せずに謝った百桃。
悲しみをぶつけるために言ったただの言葉じゃないのは当時の私にもわかった。
何か意味がある言葉なのだと。
都兎「…っ……そ、れは……」
希輝「……もものせいなの?」
口篭るお兄ちゃんに対して無表情で問いかける。
けれど、いくら待ってもお兄ちゃんからの答えを聞くことは出来なかった。
都兎「…お前は気にしなくていい。
おれが、なんとかするから」
それがどうゆう意味だったのか、私にはわからない。
これから先、どんなことをお兄ちゃんがしようとしているかなんて……
この時の私は何も知らなかった。
-それから数日後。
普通に喋るようになったお兄ちゃんに安心して、おじいちゃんが来る日数が少なくなり始めた頃。
おじいちゃんの代わりに、家政婦の人が来ることになった。
けど、家政婦の人たちは家事が主な仕事であるため、ベビーシッターみたいに遊んでくれることは基本的になかった。
そうすると私は必然的に一人になるわけで、毎日が暇で暇で仕方がなかった。
そんな時、ふと思い出した。
パパとママの部屋にあった、あの"隠し部屋"の存在を。
思い立ったらすぐ行動する性格だから、あの時と同じように一人で部屋に向かった。
中はあの時と変わらず綺麗なままの部屋。
だが、一つだけ大きなことが違っていた。
隠し部屋に繋がるあの本棚が、元の位置に戻っていた。
つまり、隠し部屋への入口は塞がっていたのだ。
本棚をどうにかして動かそうと、押したり、引っ張ったり、叩いたり、色々なことをした。
けれど本棚が移動することはなかった。
約1時間ほど試行錯誤していて流石に疲れた私は本棚に全体重を乗せて寄りかかった。
すると、あれだけ色んなことをしてもピクリともしなかった本棚が静かに移動しだした。