クロ * Full picture of the plan * Ⅳ



…殺される。



本気でそう思った。



それからの行動は、全部無意識だった。



ナイフを持った手をギュッと強く握り、思い切り振り上げた。



それは、当然のように目の前にいたお兄ちゃんに当たる。



………はずだった。



希輝「…ぅ、そ………、な、んで…っ…………!、ぁ……ぁぁあああ、ぁ……っ……、……」



さっきまで殺されかけていたのに、なんで、どうして、、



どうして、お兄ちゃんを庇ったの。百桃。



私が百桃を"殺した"。



百桃に、トドメをさした。



私が"殺した"百桃は自身の血の海に倒れ、固く目を閉じている。



私がお兄ちゃんに切りかからなければ、



私がナイフなんか遠くに投げておけば、



お兄ちゃんに抵抗しなければ、



百桃は"死ななかった"のに。



希輝「ぁあぁぁぁ……、ああああぁ、っぁぁああっ………」



___________________________________________



それからのことは、鮮明に覚えている筈なのに何も思い出せない。



まるで、ずっと続いていた道が突然途切れたかのように真っ暗で。



私の記憶は、百桃が"死んだ"その時から更に飛んで数日後の"日常"に当たり前のように続いている。



それに気づいた今、何故今まで気づかなかったのか不自然な程に。



今までは何も思わなかった。



だって、私にとってその記憶は"忘れていたい"ものだったから。



お兄ちゃんが狂って、百桃が死んで、私が殺した。



そんな記憶、封印していたかった。



ずっと、逃げていたかった。



……けど、そんなことを言っていられない事態になったから」



琥珀「…どういう意味だ」



あぁ…やっぱり、琥珀には全てお見通しなのね。



'そんなことを言っていられない事態'が百桃のことじゃないのにしっかり気づいてる。



……もう何も、隠せない。



希輝「…一週間以上前から、お兄ちゃんが行方不明なのよ。」



「「「「「「「「「「は、!?」」」」」」」」」」



陽向「どうゆうことだよ!?」



皆驚き、陽向は怒りを顕にする。



…そんなの、私にわかるはずがない。



私はずっと、逃げているのだから。



希輝「…いえ、違うわね。
これは、"行方不明"なんかじゃないわ


お兄ちゃんは、私、そして"虹羽都兎"を知る者の前から"完全に"消えたのよ。」


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