クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
今までに一度も無かった。
こんなに長い期間、向日葵の声を聞かなかったのは。
一緒に住んでいるから毎日の様に顔を合わせていたし、電話だってしたから、声を聞かなかったのは今まで精々2、3日程度だろう。
…それなのに、今回はもう数ヶ月もの間、一度も声を聞いていなかった。
本当に久しぶりに聞いた向日葵の声に安心感を抱き、無意識に声が震えた。
『……そうだね。』
心なしか、今までより柔らかく、優しい声に聞こえた。
琥珀「…それより、どうした…?
なんかあったのか??」
そんなことを疑問に思いながらも、今まで一切連絡のつかなかった向日葵から、電話があったことのほうが気になった。
『………今日、夜空いてる?』
琥珀「え?……夜??」
こんなことは初めてだった。
いつもだったら、数日前に空けておけ。と言ってくるのに。
命令形じゃないのも、当日なのも。
全部初めてだ。
そんな向日葵に戸惑いを感じながらも、しっかりと答えた。
琥珀「空いてる。」
『………1人で家に来て。』
…1人で?家?
色々と聞きたいことはあったが、ここで聞き返せば会えない気がしたから、俺は敢えて聞き返すことはしなかった。