クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
向日葵「…おかえり」
ふわりと優しく、向日葵が微笑んで俺を迎える。
見たことのない向日葵の表情に、俺は目を疑った
一瞬、ほんとに一瞬だけ、満開に咲き誇る向日葵(ヒマワリ)の花に見えた。
琥珀「…ぁ、あぁ。
遅くなって悪いんだけど、先にシャワー浴びてきてもいいか、、?」
向日葵「(コクッ)」
戸惑いで声が震えるが、向日葵は気にする様子なく、1つ小さく頷いた。
ベッドに座っている向日葵の反対側にあるクローゼットから、黒のスウェットを取り出し、鞄を適当に放り出して、向日葵の方をなるべく見ないように部屋を出た。
バタンッ
2人しかいない静かなこの家に響くほどの大きな音で、洗面所の扉を閉めた。
閉めたばかりの扉にもたれかかりながら、ズルズルとしゃがみこむ。
柄にもなく、心臓が飛び出しそうなほどバクバクと鳴り、ギュッと心臓を服の上から握った。
琥珀「なんだよ…ッ……あれっ、……!」
異様に耳の良い向日葵に聞こえないよう、声を押し殺しながら呟いた。
…まるで、これが最後だと。そう言われているような微笑みだった。
これから、向日葵が遠くに行くような。
二度と会えない、会うつもりはない。
そんなことを言われている様にさえ思えた。