クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
そんな紫月が答えないから、俺は声を荒らげて更に近寄る。
捺翔「伊織!」
すると、捺翔さんが後ろから俺を止めた。
それでも俺は紫月から目を外さないでじーっと見つめる。
朱羽「紫月、そうなのか?」
ポンッと俺の肩に手を置き、朱羽さんは紫月の答えを待つ。
紫月「…っ、確かにっあの人は俺の父親だ!
でも、あの人がここの情報を盗んで何になる!?
みんなも知っての通り、あの人は警視総監で、青星の情報なんざ簡単に調べられるんだ。おかしいだろ!!」
…初めてだ。
こんなに紫月が声を荒らげたのは。
知華が会いに来た時も似たようなことがあったが、こんなにじゃなかった。
琥珀「それなら、伊織の話を全て聞いてから考えればいい。
…伊織、スパイになった経緯からひまに助けられたことまでのこと全て話せ。
覚悟は決まっただろ?」
いつもと何処か違う琥珀が鋭く俺を見る。
それに、俺はコクリとしっかり頷いた。
伊織「…全てはきっと、俺が小学生の時から始まってたんだと思う。
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俺の家にまだ神楽が来る前、俺の家は既に冷めきっていた。
朝起きたら家に誰もいないのが当たり前。
学校から帰っても家は空で静かのまま。
家のリビングのテーブルには500円玉一枚だけがぽつりと置いてある。
それで一日の飯を買っていた。
…わかってたんだ。あの人たちが俺を要らないと思ってることなんて。