二重人格少年

「兎に角、こんな大事な時期に風邪なんか引いたあんたが悪いんだから、今日は大人しく寝てなさい」


お母さんはそう言って出来上がった氷枕を私の頭の下に置いた。



ひんやりとして気持ちくて…目を閉じたら直ぐに眠ることが出来た。

















「お母さん!!制服可笑しくない!?」


「大丈夫よ。似合ってる似合ってる」



………お母さんは新聞を読みながら私の姿を見ないで頷く。思いっきり見て無いじゃん、何無責任なこと言ってんだこの人は…


「ちょっと、ちゃんと見てよ」


「見てるじゃない」


「見て無いじゃん!もういいよ、遅刻するし、行って来ます!」


「気をつけて行くのよー?」





今日は入学式。お母さんは仕事があって来れないけど、私は一人で大丈夫。
だって、中学の時もそうだったから。



桜並木を抜けて、大きな坂を登った所に私の通うことになった常磐高校がある。
大きな坂道は自転車で登るのも一苦労で、ギアを1にしてても少し重い。


毎日通学時にこんな大変な坂登って、やっとの思いでついたと思ったら周りには男子だらけで…





本当にいいことがない。




友達は皆普通の共学の学校や女子高とかに通ってるのに…私だけ。


親友の智美にこの事を話したら智美は羨ましがってたけど、だったら代わって欲しいと心から切実に思った。


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