サバイバル学園
「中野はさぁ、ここから逃げようとしたとき、どんな気持ちだったのかな?」




ハヤブサのそのつぶやきにオレが言葉を重ねた。




「こんなクソなイベントから抜け出したい一心だったんじゃねぇか?

中野はバスケ部のスター選手だろ。

やりたいこともあったはずだよ。

それなのに、こんな死に方しやがって……」




校舎の屋上に縛られているトラロープは、本当に細くて頼りない。




きっと中野は、このトラロープが細すぎて、うまく握れずに、手を滑らせたんだ。




冷静になって考えれば、こんな細いトラロープ一本で、ここから地面まで下りて行こうと考えるのは、無謀だとすぐにわかる。




だけど中野は、追い詰められて、その冷静な判断すら出来なかったんだ。




オレは中野のそんな気持ちを考えると、胸が痛んだ。




このサバイバルイベントは、本当にクソだって……。
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