最強モテ子と落ちない彼
「まりあ、おはよー。今日も早いね」

風子が自分の席にカバンだけ置いて私のところに走って来た。
風子はボブヘアがよく似合う元気いっぱいの女の子。

「ね、聞いて聞いて!昨日、絢辻先生のサイン会に行ったの~。
アキラのイラスト付きサイン貰っちゃった」

風子は少女漫画が大好き。
というより、オタクね。

絢辻先生っていうのは今人気の
『ハニーデイズ』って漫画の作者でアキラはその作品のヒーローだ。

風子とは今年はじめて同じクラスになった。

「きゃー、やっぱり美咲にそっくり!! 天野さん、友達になって。
仲良くしよー!!」

いきなりそう声をかけられた。
美咲は風子が昔から好きな漫画の登場人物らしい。
しかもヒロインじゃなくて、ヒロインの恋敵のほう。


小学校の時のあの事件以来、女友達との付き合いに少し慎重になってた私だけど風子はすんなり懐に入ってきて仲良くなれた。

「ねーねー、まりあ。夏のコミケで美咲のコスプレしようよ~。
絶対似合うから!」

「絶対イヤ」

「え~私も一緒にするからさぁ」

「こら!また、風子は無茶なこと言って」

「あ、七海、おはよ~」

隣の席の七海が登校してきた。
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