最強モテ子と落ちない彼
私はきっちりとオバケ役の仕事をこなしていた。

みんな、期待以上に怖がってくれている。

もうそろそろラストの組かな〜。

翔平は仕事を放棄して、結局ずっと隣にいた。

今も「怖い、怖い」と呟いてて、かなり鬱陶しい。

こっちは頭痛がひどくなってるのに、うるさいなぁ。


「えっと、次は理科室だね」

廊下から高村の声が聞こえた。

高村と小宮さんのペアだ。

小宮さんが可愛い声で「怖いね」なんて言うのも聞こえる。


小宮さんも翔平も幽霊なんかの何が怖いのよ!!


私と翔平は脅かし用の白いシーツをかぶって二人の前に飛び出した。

小宮さんが小さくきゃっと叫んだ。

高村は平然としてる。

「あ、三浦と天野か。二人は理科室担当だったんだね。
オバケ役、お疲れさま」

「お前な、ちょっとは怖がれよ」

「二人とも生命力強すぎるタイプだから、オバケ役向いてないよ。
ちっとも怖くない」

「褒めてんの、それ?」

高村と翔平は仲良くじゃれている。
小宮さんも楽しそうだ。
頬を染めて、はにかんだ笑顔がかわいい。
さすが、ヒロイン。


「さてと。小宮さん、三浦。悪いんだけど、ここから先は二人でゴールまで行ってくれる?」

高村はそう言うと、今度は私の方に向きなおった。

なに?

「天野は僕と保健室ね」

「え? 」

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