最強モテ子と落ちない彼
「な、何言ってんの?高村っ」

思わずベッドから飛び起きて、叫んだ。

頭痛なんて吹き飛んだ。

「さすがに気づくよ。
こんなに一途に思われてたら」

高村はこともなげに、さらりと言う。

「違うわよっ! なんで私が高村なんか・・あんたみたいな地味な男・・」

「あれ、違うの?
せっかく彼女になってもいいよって言おうと思ったのに」


彼女になってもいいよって・・

その高飛車で自意識過剰なセリフは・・・

遠い昔に、たしか私が・・・


高村がニヤリと笑った。


やっぱり、高村は性悪だ。



「・・違わない」

小さな小さな、できれば聞こえないといいなって思う声で私は言った。

けど、しっかり聞こえたみたい。

「素直でよろしい」

小さい子供にするように、高村は私の頭をポンポンと叩く。

「じゃあ、今日はもうゆっくり休んで。明日の朝、家まで送ったげるから」

「え? 本当に行っちゃうの?」

「うん。さすがの僕も二人きりで一晩いたら、手を出しちゃうかも知れないし。
それはまずいでしょ。」

全然、まずいなんて思っても無さそうに言う。

「・・・出さないよ。高村は。
私が裸で迫ったって、遠慮しとくって言うよ、きっと」

いつかの妄想を思い出して私が言うと、高村は声を出して笑った。

「あははっ。ほんと面白いな、天野は。
じゃあ、それ今度試してみてよ?
楽しみにしてるから」

今度?
楽しみにしてる!?

うろたえる私を見て、高村はますます大きな声で笑う。

それから、笑いをこらえながらおやすみと言って保健室を出て行った。

おやすみって・・・
そんなこと言われても・・・

今日は絶対眠れないよ・・・









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