心のそこから愛する人
        帰り道



「なぁ~、真佑、一緒に帰ろう」


「別にいいよ、帰る方向同じだから」


「うん」


瞬は、いつも私を追いかけてくる。

犬みたい。


「真佑、今度さ」

「うん」


その時、瞬の携帯がなった。


「あっ、母さんからだ」


「出ないと後が怖いよ」


「そうだな、もしもし」


携帯に出た。


「うん、うん……、分かった」


携帯を切った。


「何だって」


「帰りにお買い物してきてって」


「そっか」


「でも、折角、真佑と帰れるのに」


「毎日のように帰ってるじゃん。
頼まれ事の方が大切でしょ」



瞬は少し悲しそうな顔をして、


「うん、じゃあ、買い物行ってくる」


「じゃあ、また明日」


「また、明日」


瞬は、そう言ってスーパーに向かった。



「さて、帰ろうっと」


暇潰しに、白い線の上を歩きながら帰っていると路地から声がして止まった。 


そっちを見ると…、

仁様と知らない女の人がキスをしていた。


思わず、立ち尽くしていると、
仁様と目があってしまった。


私は、そこから走った。




家まで走って帰り、自分の部屋に飛び込んだ。


ビックリした。


知らない女の人と仁様がキスしてた!


仁様、あんな大人の女性が好みなのかな。


私も、時間があれば……、
こんなこと考えてる場合じゃない。




完全に仁様と目があった。


あんな状況じゃなければ、凄く嬉しいはず
なのにぃぃ。



でも、何かあれだけ好きだったはずなのに
冷めてきたかも。


どうしてだろう。


好きなはずだった……。


現実、突きつけられたみたいだ。


私には、無理なのかなって……、

何かバカみたい。


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