心のそこから愛する人

　　　学校　　昼休み　　食堂


「はぁ～」

「真佑、ﾓｸﾞﾓｸ、どうし、ﾓｸﾞﾓｸ、たの」

「食べるか話すか、どっちかにしなさい」

「分かった」


水を飲んで。


「真佑、本当にどうしたの？」

「どうしたって言うほどでもないけど」

「元気ないのは何かあったからだろ」

「やっぱり、いい」


私は、片付けて席をたった。


「あっ、ちょっと真佑」







　　　　　放課後　(教室)



「真佑、どうしたんだよ」


「いや、昨日さ、仁様が女の人と
キスしてるところ見ちゃって、何か……」


「そっか、それで元気なかったのか」


「うん、何か、バカみたいって思って」


もう、分かんない。
自分でもどうしたいのか。


「諦めるの、大島のこと」


「だって、私なんかを好きになってくれる
はずないのに、ずっと好きでいるのは、
辛いかなって」


そうだ、辛い。

結ばれるなんて、あり得ないのに、

そうだよ、私のバカ、気付きなさいよ。


「ねぇ、真佑」


瞬が聞いたことの無いような甘い低い声で私を呼んだ。


「俺じゃ駄目かな」


ドキッとした。


「俺、真佑の事がずっと前から大好き。

真佑には、幸せになって欲しいから、
好きな人がいるなら応援していくつもりだった。

けど、こんな辛そうな顔するなら、
俺が真佑の事を幸せにしたい。

真佑に、好きって言いたい」


瞬は、私の顔に手を添えた。


「なるべく早く返事は欲しいけど、
ゆっくり考えてくれたら嬉しい。

よく考えて答えが出たら、真佑から
返事の答えを頂戴ね」


私は、頷くことしか出来なかった。


「ありがとう。
今日は、先に帰るね、また、明日」


そう言って、瞬は、鞄を持って帰って
いった。