さよなら、愛しき人。【完】
すぐさまニューヨーク行きの便に乗り、日本を離れた。
とにかく、安心したかった。
もう、彼に迷惑をかけることも、子供がいることも知られないその安心感を。
ただただ得たかった。
いもしない相手に小さく呟く。
「好きだよ、頼人…」
そう呟いて私は眠りについた。
気づくと、もうすでにニューヨークに到着していた。
日本とは違い、少し寒い。
よかった、コート着といて。
私の体に何かあったら、大変だものね。
家が決まるまではホテルに泊まるかぁ。
これからの計画を立てて、私はとりあえず近場のホテルにチェックインした。
英語が全然話せない私にも、優しく丁寧に接客してくれて。
意外といいところかもね。
あ、仕事もしなくちゃいけないね。
この子が生まれるまではー…バイトしかないかな??
それと今までの貯金。
足りるといいけど。
そして明日ちゃんと病院に行こう。
お風呂に入り、髪も乾かさずに寝てしまった。
「あー…よく寝た。久しぶりに結構眠れたかも…」
いつもは頼人の帰りを待って、頼人より遅く寝て、早く起きるし。
時計を見ると、12時間も寝てたみたい。