さよなら、愛しき人。【完】
さて、と。
産婦人科に行かなきゃね!
とりあえず近場の産婦人科を探し、タクシーでそこへ向かった。
産婦人科の先生はすごく優しくて、丁寧な人だった。
エコー検査や色々難しい検査をした結果、やっぱり妊娠しているみたい。
3ヶ月目らしい。
幸い、この先生は日本語ペラペラで、いってることも理解出来た。
「どうする?あなた、旦那さんいないんでしょう?」
「はい…。けど、産みたいんです。私の子には変わりないですから」
「…うん、いい目をしてるわね。それじゃあ、出産の方向で進めるわ」
「ありがとうございます!!」
「辛い道のりよ。覚悟はいい?」
「はい!」
「それじゃあ、1週間後にまたおいで。お大事にね」
ホテルに戻りながらこれからのことを考えていた。
「お嬢さん、これ落としましたよ」
振り返ると、ハーフ顔の綺麗な男の人が立っていた。
「あれ、もしかして…秋津 唯奈(あきつ)ちゃん??」
「へ、そ、そうですけど…。今は高梨ですが…。貴方は…?」
「あっ、驚かせてごめんね?僕はルイ=クラウディア。秋津 花那(はな)の知り合いだよ」
「母の?」