さよなら、愛しき人。【完】
空っぽの心。
あれから一週間がたった。
私は前の家に住み、人形のような生活を送っていた。
一日中部屋にこもり、ただルイとの写真を見つめる。
かろうじて食事や水分はとるものの、言葉は一切発しなかった。
感情さえ失ったかのように。
私の頭を、心を占めるのはただ一つ。
〝ルイに会いたい〟
それだけだった。
赤ちゃんが生まれるのを楽しみにしてくれてた。
毎日私のお腹を撫でて、早く生まれておいで、って。
なんで気づかなかったんだろうね?
こんなにも大切なのに。
こんなにも愛おしいのに。
こんなにも…貴方を求めてるのに。
ねぇ、ルイ。
もう一度でいいから会いたいよ。
ルイ…ルイ……ルイ………。
思い出すのはルイのことばかり。
笑顔や仕草、声や匂いも鮮明に覚えてるよ。
温もりだって……。
ねぇ、もう一度抱きしめてよ。
可愛いね、って額にキスをおとして?
ルイ………助けて…。