大切な君とI LOVE YOU
次の日。
昨日は佑宇真のことを考えていたら、寝つけなくて、寝不足だ。
「寧々ちゃん、起きてる?」
魔裟斗がノックしてかくら、オレは扉を開けた。
「ええっ!?寧々ちゃん、もう起きてたの?」
魔裟斗がビックリした顔をした。
「うん。まあな。」
「あれ?目の下にクマができてる。昨日、寝られなかったの?」
オレの顔を見て、魔裟斗はそう言った。
「魔裟斗、佑宇真は?」
「ここにいる。」
と、いきなり佑宇真が返事するものだから、オレは
「ワッ!!」
って、ビックリした声を出してしまった。
「何だよ。人をバケモノみたいに……。」
「ゴメン。ちょっとびっくりして……。」
オレは素直に謝った。
「別にいいけど、お前、大丈夫か?今日は家で寝てた方がいいんじゃないか?」
佑宇真にもすごい顔に見えてるんだ。
今は『魔裟斗』の姿だけど、好きな人にそんな風に見られるのは、ちょっぴり悲しい。
でも、家にいてても、また同じことを考えてしまう。
「大丈夫だ。顔洗えば、平気だし、学校行くよ。」
学校に行けば、気も紛れるだろうしな。
そう言って、オレは洗面所に向かった。

「どうしたの、マサくん、そのクマ。ちょっとひどいよ。」
例によって、香里奈が話しかけてきた。
「そんなにひどい?」
「うん。私の席においでよ。クマ、隠してあげる。」
「別にいいよ。」
そう言って、オレが断った時、
「ダメだよ。マサは可愛くなくッちゃ。」
突然、話しかけてきたのは、クラスメイトの五十嵐斎だ。
やたらとオレにかまってくるヤツだ。
正確に言うと、『魔裟斗』になんだが……。
チラッと噂で聞いたことあるけど、魔裟斗って、同性にモテるらしい。
それじゃ、コイツもそうなのか?
(ウワ~ッ、気色ワリィ。)
オレはその手の話は苦手なので、あんまり近づかないでほしい。
でも、魔裟斗が仲良くしてたってことは無下にもできない。
(さて、どうしたもんか。)
そう考えているうちに香里奈がクマを隠してくれた。
「ありがとう!香里奈ちゃん!」
「どういたしまして。」
香里奈は満足そうに微笑んだ。

放課後。
「おーい、マサ!今日は一緒に帰らないか?」
さっそく五十嵐が誘いをかけてきた。
(うわ~っ、きたよ。オレ、どうする?)
その時、グイッと肩を抱き寄せられ、
「悪いな、五十嵐。魔裟斗は俺と一緒に帰る予定があるから。」
チラッと見上げると、佑宇真だった。
「そうか。残念……。マサ、また今度な!」
五十嵐はそう言って、帰って行った。
「佑宇真、助かった。どう断ろうかと思ってて……。」
「バカ!!アイツ、お前狙いだぞ。ちょっとは気をつけろよ!」
いきなり怒鳴られて、オレはびっくりする。
「えっ、アイツは魔裟斗狙いで……。」
「でも、今は『お前』だろう?何かあったら、どうするんだ!」
オレは再び、びっくりする。
珍しい。
佑宇真、もしかして、ヤキモチ妬いてくれてるのか?
何かオレは嬉しくなってしまって、笑顔で、
「うん、分かった。今度からは気をつける。」
と、そう言った。
「何、笑ってるんだよ。俺は……。」
「もう分かったから。」
「本当に?」
「うん。」
オレがそう返事すると、佑宇真はやっと納得した様子だった。
「じゃあ、図書館で待ってろよ。」
「うん。分かった。」
その日、オレは内心ルンルン気分で、佑宇真と一緒に家に帰ったのだった。
だが、そんなオレの嬉しさを打ち砕く、落とし穴が待っていたのだった。











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