愛され姫様!?~天使と悪魔~
―――ふわっ。
「え…?」
「乙女たるもの殴って良いなんておっしゃてはいけませんわ咲楽様?それからもう寒いのでマフラーくらい巻いてください。」
そう言ってほほ笑むほのちゃん。
「なぐら、ないの…?」
「…ふふっ。咲楽様は馬鹿ですね。」
「え、馬鹿って…ちょっと!?」
「親友を殴っていいなんてわたくしは両親にも咲楽様にも教わっておりませんわ。」
このとき、私はほのちゃんが大好きだって思ったんだ。
「ほのちゃ…。」
「ほら、瑠耶様もお待ちですので、お帰り下さい。」
ほのちゃんが見つめる先を見ると、柱によっかかっている瑠耶を見つけた。
「良いですか?咲楽様、わたくしは咲楽様を恨んでなんていませんよ。咲楽様はわたくしの大切な人なんですから。」
微笑むほのちゃんの目には少しだけ、きっと少しだけ涙があった。
「…はいっ!」