秘め恋*story7~試着室で…~
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チーフから任された商品の発注をリストアップして、書類を作成していると…
「高田さん、チーフが呼んでるわよ。」
お手洗いでの化粧直しを終えた山下さんが通りすがりに、教えてくれた。
“わかりました。”と答えながら、発注リストをパソコンに保存して、席を立った。
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「え?特に用事はないわよ?」
「あ、そうですか。」
おかしいなぁ。
確かに山下さんからチーフが呼んでるって…
そう思いながら、店に行くと山下さんがレジのところで立ち話をしていた。
「あの~…チーフ、特に用事はないって言われたんですが。」
私がそう言うと、山下さんはケロッとした様子でこう言った。
「あら!ごめん。高田さんじゃなくて、中村さんだったのー。ごめんねー。」
あ、そうだったんだ。
まぁ!誰でも間違いはあるし、仕方ないよね。
そんな呑気に思ってる私は後でバカを見た。
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「ちょっと、高田さん!
発注、間違いだらけよ!」
「えっ!?」
次の日の午後、すごい剣幕のチーフが走ってきた。
届いた商品のところへ走りながら、頭はパニックだった。
うそ…。
何度も何度も確認したのに。
「え、何で?」
「それは私が聞きたいわ。高田さん、説明してくれないかしら。」
チーフにそう言われても、私にも何でこんな1つ前のシーズンの商品が届いてるのか分からないまま…黙ってしまった。
そんな私を見かねて、チーフは…
「分かったわ、説明は後で聞く。
それより、この商品をどうするか考えてちょうだい。」
「は、はい。申し訳ありませんでした。」
深く深く頭を下げて、何とか気持ちを落ち着かせようとした。