君が笑うなら。。。
エピローグ
春の空、満開の桜が散りゆく中
沢山の学生達が学校への坂を登っていく。
「青葉市立西高校」築10数年のまだ新しい高校だ。
少し長い坂を登り終えると校門が見える。
そこには定番の生徒指導の先生が立っていた。そう、いつも遅刻などする生徒に対して校門を閉めてくる厄介な番人だ。(まぁ当たり前なのだが)
もうすぐ始業時刻。生徒の大半は学校内にいる。

先生「もうそろそろ閉めるか。。。」

生徒指導の先生が門を握り、閉めようとすると、生徒がもうダッシュで走ってくる。
ギギーっと音と共に校門を横に閉めはじめる先生。

走る生徒「ちょっっっとまっったぁーー!」

生徒の声が春の空に響き渡る。

先生「またお前かぁ!!!日比野!!!」
日比野「ぬぉぉぉぉ!!」

校門が閉まる瀬戸際をスライディングで滑り込む。

日比野「よっしゃぁ!!間に合った!!」

キーンコーンカーンコーン♪
学校のチャイムが響き渡る。

先生「全然間に合ってないわ!!アホかお前わ!!」

そう、当然のごとく遅刻である。


いつも聞きなれた説教を受けようやく開放された。

日比野「くっそ、あのゴリラめ。いつもなんで俺が遅刻する時にはいやがるんだ!」

というか遅刻するほうが悪い。

職員室からでて階段を登り3階へと向かう、青葉市立西高校では4階から下へ順番にクラスが上がっていく。日比野は2年生なので3階だ。
教室に入ると朝のホームルームなどとっくに終了し1時間目の授業が始まる準備が進められていた。
そして目の前にはいつもツレ達が座っている。

中西 亮「お、おはよう!また遅刻かよ。」

中西がニヤニヤしながら言うと神田が参考書を見ながら言う。

神田 明「まぁ、またというかほぼいつもだがな。」

この二人は青葉市立西高2年生名物、アオバカトリオ(日比野、中西、神田)のメンツである。

日比野「うっせぇ!いつもじゃないぞ。」
神田「そうだったな、一昨日は遅刻してないからな」
中西「それでも一昨日かよ(笑)」

中西がププっと笑いながら言う。
そしてやれやれ、と呆れながら神田が言う。

神田「そろそろ遅刻癖、直したほうがいいんじゃないのか?」
日比野「お前は俺のお母さんか!」

日比野は基本的に遅刻魔である、遅刻しない日が珍しいと言われるほど遅刻する。
朝が弱いという訳でなくタダ単にのんびりし過ぎが原因なのであるが本人はあまり意識していない。
日比野は自分の席に着き鞄から教科書を出す。


日比野「1限目ってなんだっけか?」

日比野が神田に問うと神田は参考書を閉じ、

神田「お前の大好きな数学だよ。」

と冷静に答えた。

< 4 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop